申し込んだ直後は毎日テキストを開いていたのに、二か月ほど経つと教材が机の隅に置かれたままになっている。資格試験の学習では、こうした状態に陥る方が少なくありません。気持ちが乗らない日が続き、そのまま受験を見送ってしまうこともあります。
このとき多くの方が、自分の意志が弱いことを原因だと考えます。しかし、やる気の量には波があり、高い状態を何か月も保ち続けられる人のほうが例外的です。続かないことを前提に置いたうえで、やる気が下がっても手が動く形をあらかじめ作っておくほうが現実的です。
この記事では、やる気が落ちやすい時期を確認したうえで、行動のハードルを下げる、進み具合を見える形にする、一人で抱えないという三つの方向から、挫折を防ぐ仕組みの作り方を編集部の視点で整理します。
やる気が下がるのは意志の弱さだけが原因ではない
学習が止まる場面をよく見ていくと、やる気が消えたから止まったというより、止まりやすい条件がそろっていたというケースが多く見られます。たとえば教材を出すまでに手間がかかる、次に何をやるか決まっていない、進んでいる実感がないといった条件です。
こうした条件があると、気持ちが乗っている日は乗り越えられても、疲れている日や予定が詰まっている日には越えられなくなります。働きながらの学習では、疲れている日のほうが多いことも珍しくありません。
そのため、対処の方向としては気持ちを高める方法を探すよりも、気持ちが低い日でも越えられる高さまで条件を下げるほうが効果を得やすくなります。以降ではその具体的な作り方を見ていきます。
やる気が切れやすい時期をあらかじめ知っておく
やる気の落ち込みは、ある程度決まった時期に起こる傾向があります。いつ来るかを知っておくと、そのときに慌てずに済みます。
| 時期 | 起こりやすいこと | 先に打っておける手 |
|---|---|---|
| 開始から1か月前後 | 最初の勢いが落ち、日常に戻る | 毎日の最低ラインを短く決めておく |
| 学習の中盤 | 進んでいる実感が持てなくなる | 終わった範囲を目に見える形で残す |
| 苦手科目に入ったとき | 分からない箇所で手が止まる | 質問できる先を確保しておく |
| 試験の数か月前 | 残りの量に圧倒される | やらない範囲を決めて絞り込む |
| 仕事が忙しくなった時期 | 計画が崩れて戻れなくなる | 遅れを前提にした予備日を置く |
表のとおり、落ち込みの多くは学習内容そのものではなく、進み具合の見えにくさや量への不安から生じています。これらは仕組みで軽くできる部分です。
仕組みその一 行動のハードルを下げる
最初に手を付けたいのが、学習を始めるまでの手間を減らすことです。教材を棚から出す、前回の続きを探す、パソコンを立ち上げるといった動作は一つひとつは小さいものの、疲れている日には十分に足を止める要因になります。
- 教材は片付けずに開いたまま机に置いておく
- 前回どこまで進んだかが一目で分かる印を必ず残す
- 翌日に取り組む範囲を、前日のうちに一行だけ決めておく
- 移動中でも進められる形の教材を一つ用意しておく
あわせて、一日の最低ラインをかなり低く設定しておくことも有効です。たとえば一日一問だけ、動画を一本だけといった水準です。低すぎるように感じるかもしれませんが、狙いは学習量ではなく、机に向かう習慣を切らさないことにあります。
一度完全に止まってしまうと、再開には最初に始めたときと同じくらいの気力が必要になります。量が少ない日があっても連続を切らさないほうが、結果として総量は積み上がりやすくなります。短い時間の使い方はスキマ時間の使い方でも整理しています。
仕組みその二 進み具合を見える形にする
やる気が下がる大きな要因のひとつが、進んでいる実感の乏しさです。資格試験の学習は成果が出るまでに時間がかかるため、何も見える形にしていないと、努力に対して手応えがない状態が長く続きます。
そこで、終わったことを積み上がる形で残しておくと、気持ちの支えになります。学習時間を記録する、終えた単元に印を付ける、解いた問題数を数えるなど、方法は何でも構いません。重要なのは、後から見返したときに量が目に見えることです。
記録があると、落ち込んだときの判断材料にもなります。進んでいない気がしていても、記録を見れば実際には一定量を積んでいたと分かることがあります。逆に本当に止まっている場合も、どこから止まったかがはっきりします。具体的な付け方は学習の記録と振り返りで扱っています。
なお、記録を細かくしすぎると、記録すること自体が負担になって続かなくなります。一日一行、あるいは印を一つ付けるだけといった水準から始めるのが無理のない形です。内容を充実させるより、抜けの少ない状態を保つことを優先してください。
記録を見返すタイミングも決めておくと効果が出やすくなります。毎日振り返る必要はありませんので、週の終わりに数分だけ確認する程度で十分です。一週間単位で見ると、日ごとの増減に一喜一憂せずに済み、全体としてどの方向に進んでいるかが判断しやすくなります。
仕組みその三 一人で抱え込まない
独学で進めていると、分からない箇所で止まったときに解決の手段がありません。調べても答えが出ないまま数日が過ぎると、その科目自体を避けるようになり、学習全体から遠ざかるきっかけになります。
そのため、疑問を投げられる先を用意しておくことは、理解のためだけでなく継続のためにも意味があります。通信講座では質問対応の有無や回数、返答までの日数に差がありますので、選ぶ段階で確認しておくとよい部分です。質問サポートの違いも参考にしてください。
同じ試験を受ける人とゆるくつながっておくことも支えになります。進み具合を報告し合う相手がいると、自分だけが遅れているという思い込みが和らぎます。ただし、他人の進度と比べて焦る形になると逆効果になりますので、距離感は自分に合う範囲で調整してください。
完全に止まってしまったときの戻り方
何週間か手を付けていない状態から戻るときは、止まる前と同じ量を再開しようとしないことが大切です。急に元の水準へ戻そうとすると、初日で疲れて再び離れる流れになりやすくなります。
現実的なのは、止まる前の三割程度から再開する形です。また、止まった地点から続けるのではなく、少し前の分かる範囲まで戻ると、解ける感覚が戻って再開しやすくなります。
あわせて、なぜ止まったのかを一度だけ振り返っておくと、同じ形での中断を減らせます。計画に無理があったのか、生活の変化に対応できなかったのか、原因によって手の打ち方は変わります。計画そのものの組み直しについては学習計画の立て方を参考にしてください。
まとめ
モチベーションが続かないときの対処について、この記事で整理した内容をまとめます。
- やる気には波があるため、下がっても手が動く形を先に作っておくほうが現実的
- 教材を出す手間や次にやることの迷いを減らし、始めるまでのハードルを下げる
- 終わった量を見える形で残すと、進んでいる実感が持てて落ち込みにくくなる
- 止まったときは元の量に戻そうとせず、分かる範囲まで戻って少量から再開する
継続のしやすさは、本人の努力だけでなく教材や学習環境の作りにも左右されます。進捗が自動で記録される仕組みや、次に取り組む範囲が示される機能を備えた講座もありますので、続ける自信がない場合は、そうした支えの有無を選ぶ基準に加えてみてください。
学習を支える仕組みは講座ごとに考え方が異なります。当サイトでは資格ごとに主要な通信講座を比較しています。
