未経験から目指せる国家資格の選び方|難易度と実務のつながりで考える

未経験から目指す国家資格の選び方を表したイラスト

これまで関わったことのない分野に挑戦したいと考えたとき、選択肢として国家資格が頭に浮かぶ方は少なくありません。ただ、実際に調べ始めると資格の数はとても多く、名称を眺めているだけではどれが自分に合っているのか判断がつかない、という状態になりがちです。

さらに厄介なのが、資格について目にする情報の多くが「難しいか、易しいか」という一本の軸に寄っていることです。難易度は大事な要素ですが、それだけを頼りに選ぶと、合格したあとに「思っていた仕事につながらなかった」「範囲が広すぎて途中で手が止まってしまった」といったずれが起こりやすくなります。

この記事では、未経験の状態から国家資格を選ぶときに編集部が押さえておきたいと考えている観点を、受験資格の有無、学習時間の目安、実務とのつながり方という3つの軸に分けて整理します。特定の資格をおすすめするのではなく、自分で候補を絞り込むための手順としてお読みください。

目次

未経験から資格を選ぶときにつまずきやすい点

最初に、よくあるつまずき方を挙げておきます。自分がどれに当てはまりそうかを意識しながら読み進めると、後半の絞り込みが進めやすくなります。

  • 難易度の情報ばかりを集めてしまい、その資格が実際にどんな場面で使われているかを調べないまま受験を決めてしまう
  • 「国家資格を持っていれば何とかなる」という前提で選び、資格そのものよりも経験が重視される分野を選んでしまう
  • 学習時間の見積もりが甘く、仕事や家庭の予定と両立できない計画を立ててしまう
  • 受験資格に実務経験や下位級の合格が必要な資格を、いきなり第一候補にしてしまう
  • 試験が年に1回しかないことを直前に知り、次の受験機会まで1年待つことになる

いずれも、資格そのものの良し悪しではなく、事前に確認しておけば避けられる情報不足から生じるものです。裏を返せば、順番を決めて調べていくだけで、未経験からの資格選びはかなり整理できます。

まず「受験資格」で候補を絞る

最初に確認したいのは受験資格です。ここを見落とすと、学習を始めたあとで「そもそも受けられない」ということになりかねません。国家資格は、受験資格が設けられていないものと、一定の条件を満たさないと受けられないものに大きく分かれます。

不動産系や法律系の試験には、学歴や実務経験の要件を設けていないものが多く見られます。年齢や経歴を問わず受験できるため、未経験の方が最初に検討しやすい部類だといえます。

一方で、技術系の資格のように、上位の試験を受けるには一定期間の実務経験が求められるものもあります。また、下位の級に合格していることや所定の研修を修了していることが受験の前提になっている試験、受験できる年齢の上限が定められている試験もあります。未経験から始める場合は、まず受験資格の制限がない試験を土台に候補を作り、条件が必要な資格は「経験を積んだあとの次の目標」として置いておくと計画が立てやすくなります。

受験資格の有無は年度によって細かな変更が入ることもあるため、候補が固まった段階で必ず試験実施団体が公表している最新の受験案内を確認してください。

難易度は合格率ではなく学習時間の目安で捉える

難易度を測るとき、多くの方がまず合格率を見ます。ただ合格率は、その試験を誰が受けているかによって大きく上下する数字です。受験資格が厳しく、実務経験を積んだ人しか受けられない試験は合格率が高めに出やすく、逆に誰でも受けられる試験は記念受験に近い層も含まれるため低めに出やすい傾向があります。この点は合格率だけで難易度を判断しない考え方を扱った記事でも詳しく整理しています。

未経験の方が自分の負担を見積もるうえでは、合格までに必要とされる学習時間の目安のほうが実感に近い指標になります。あくまで一般的に言われている幅であり、前提知識や学習スタイルによって上下しますが、資格ごとの規模感を比べるには役立ちます。

資格の例学習時間の目安受験機会の傾向
賃貸不動産経営管理士100〜200時間前後年1回
ファイナンシャル・プランナー2級150〜300時間前後年に複数回
管理業務主任者300時間前後年1回
宅地建物取引士300〜400時間前後年1回
マンション管理士500時間前後年1回
行政書士600〜1,000時間前後年1回
中小企業診断士1,000時間前後年1回(一次・二次)
司法書士3,000時間前後年1回

この表を、自分が週に確保できる時間で割ってみると現実味が出てきます。たとえば週10時間を確保できるなら、300時間規模の試験は半年強、1,000時間規模なら2年近くかかる計算になります。ここで「思っていたより長い」と感じたなら、それは資格選びを見直すサインというより、計画の立て方を先に整えるべきというサインです。

実務とのつながり方で資格を3つに分ける

難易度と並んで確認しておきたいのが、その資格が仕事のどこで効いてくるかです。編集部では、国家資格を次の3つのタイプに分けて考えると整理しやすいと感じています。

独占業務があるタイプ

その資格を持っている人でなければ行えない業務が法律で定められているタイプです。資格の有無がそのまま業務範囲の違いになるため、未経験からでも仕事の入口を作りやすい面があります。詳しくは独占業務がある資格とない資格の違いを整理した記事で解説しています。

設置義務や配置基準があるタイプ

事業所に一定の割合や人数で有資格者を置くことが定められているタイプです。企業側に採用する理由が生まれるため、資格を持っていること自体が評価につながりやすい傾向があります。不動産業界にはこの型の資格が複数あり、不動産系の資格の役割と難易度の違いを横に並べて比べておくと、どこから手をつけるかが決めやすくなります。

知識を示すタイプ

特定の業務を独占するわけではなく、一定の知識を体系的に学んだことを示すタイプです。単独で職に直結するとは限りませんが、現在の仕事と組み合わせたときに説明材料になりやすく、学習範囲が生活に近いものも多いため、最初の一歩として選ばれることがあります。

どのタイプが良いという話ではありません。すぐに転職の材料にしたいのか、いまの仕事の幅を広げたいのかによって、選ぶべきタイプは変わります。目的をひとことで言えるようにしてから、この3分類に当てはめてみてください。

未経験から目指しやすい資格に共通する条件

ここまでの内容をふまえると、未経験の方が取り組みやすい資格にはいくつかの共通点が見えてきます。

  • 受験資格に実務経験や学歴の要件がなく、思い立った年に受験できる
  • 出題範囲が法令や制度を中心に体系化されていて、市販教材や通信講座が揃っている
  • 学習時間の目安が、自分の生活で確保できる時間の範囲に収まっている
  • 資格を必要とする業務や配置基準があり、未経験でも応募できる求人が一定数ある
  • 関連する資格があり、合格後に学習範囲を活かして次の資格へ進める

そのうえで、受験を決める前に決めておきたいことが3つあります。1つ目は、週にどれだけ学習時間を取れるかです。ここは希望ではなく実績で見積もるほうが安全で、働きながら勉強時間を作る方法を先に決めておくと計画が崩れにくくなります。

2つ目は、教材や講座にかけられる費用の上限です。3つ目は、いつの試験を受けるのかという期限です。試験日から逆算すると、いま選ぼうとしている資格の学習時間が現実的かどうかがはっきりします。逆算した結果として今年の試験に間に合わないなら、規模の小さい資格を先に受けて学習の習慣を作るという進め方もあります。

まとめ

未経験から国家資格を選ぶときに押さえておきたい点を、あらためて整理します。

  • 最初に受験資格を確認し、実務経験や下位級の合格が前提になる試験は後回しにする
  • 難易度は合格率だけで判断せず、学習時間の目安を自分の可処分時間で割って考える
  • 独占業務があるか、設置義務があるか、知識を示すものかで実務とのつながり方は変わる
  • 学習時間・費用・受験する試験日の3つを先に決めてから教材や講座を選ぶ

候補が2つか3つに絞れたら、次は学習の進め方を具体化する段階です。教材の形式やサポート体制、費用を横並びで見比べておくと、学習を始めてからの迷いが減ります。当サイトでは資格ごとに主要な通信講座を比較しています。

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