記憶が定着する復習のタイミング|忘却曲線を学習計画に落とし込む

復習のタイミングで定着率は変わる 忘却曲線を計画に落とし込む

テキストを読んだ直後は理解できたつもりでいたのに、一週間後に同じ論点の問題を解こうとすると手が止まる。働きながら資格試験の勉強を進めている方から、こうした声はよく聞かれます。自分の記憶力に問題があるのではないかと不安になる方もいます。

ただ、覚えた内容が抜けていくこと自体は誰にでも起こります。問題になりやすいのは記憶力そのものよりも、覚え直すタイミングが合っていないことです。記憶が薄れきってしまってから触れ直すと、ほとんど最初から学び直す形になり、同じ範囲に何度も時間を使うことになります。

この記事では、忘却に関する一般的な考え方を確認したうえで、復習の間隔をどう置くか、そして限られた学習時間の中に復習をどう組み込むかを編集部の視点で整理します。細かい数字にこだわるよりも、自分の計画に落とし込める形を持ち帰っていただくことを目指した内容です。

目次

記憶は思っているより早い段階で薄れていく

記憶の薄れ方を説明するときによく引き合いに出されるのが、忘却曲線と呼ばれる考え方です。学習した直後から時間の経過とともに思い出せる量が下がっていき、最初のうちは急に、そのあとはゆるやかに減っていく形で説明されることが一般的です。

ここで押さえておきたいのは、下がり方が一定ではないという点です。落ち込みが最も急なのは学習した直後の短い期間で、そこを過ぎると減り方はゆるやかになる傾向があります。つまり、覚えた直後こそ手を打つ価値が大きいということになります。

なお、忘却曲線のもとになった実験は意味を持たない文字列を対象にしたものとされており、内容に理屈のつながりがある資格試験の学習にそのまま当てはまるわけではありません。実際には、理解を伴って覚えた内容のほうが残りやすい傾向があります。曲線の形は厳密な予測ではなく、復習の順番を考えるための目安として使うのが現実的です。

復習は間隔を少しずつ広げていくのが基本形

復習の置き方には大きく二つの考え方があります。ひとつは同じ日に何度も繰り返す方法、もうひとつは日をまたいで間隔をあけて繰り返す方法です。同じ合計時間をかけるのであれば、日を分けて触れ直したほうが後々まで残りやすいと説明されることが多くあります。

そのうえで、回を重ねるごとに間隔を少しずつ広げていく形が扱いやすい進め方です。一度思い出せた内容は次に薄れるまでの時間が延びていくため、毎回同じ間隔で復習すると、まだ覚えているものに時間を使いすぎることになります。

間隔の目安を表にすると次のようになります。科目の性質や自分の得意不得意によって前後しますので、そのまま当てはめるのではなく出発点として使ってください。

復習の回数前回からの間隔の目安そこでの主な狙い
1回目当日から翌日最も急な忘却を止める
2回目3日から1週間後自力で思い出せるか確認する
3回目2週間から1か月後長く残る形に移していく
4回目以降1か月から3か月後直前期まで維持する

表の間隔はあくまで幅を持った目安です。暗記の比重が大きい科目は短めに、理屈で追える科目は長めにするなど、実際に回してみて思い出せる度合いを見ながら調整していくことになります。

1回目の復習をどこに置くかで負担が変わる

復習の中でも扱いが難しいのが1回目です。落ち込みが急な時期に当たるため、ここを外すと2回目以降の負担がまとめて増えていきます。逆にいえば、1回目を早めに置くだけで全体の手間が軽くなることがあります。

現実的なのは、学習した日のうちに数分だけ振り返る形か、翌朝に十分ほど時間を取る形です。どちらか一方でも構いませんし、両方置ければさらに安定します。重要なのは長さよりも、薄れきる前に一度触れておくことです。

このとき、テキストを開いて眺めるだけの復習になっていないか確認してください。読み返すと知っている内容が並ぶため理解できている感覚になりますが、試験で求められるのは自力で思い出す動作です。テキストを閉じた状態で見出しだけを見て中身を口に出す、白紙に要点を書き出すといった形にすると、覚えているつもりの部分と実際に抜けている部分の差がはっきりします。この考え方はインプットとアウトプットの配分とも重なる部分です。

思い出せなかったものだけを次に回す

すべての論点を同じ回数だけ復習しようとすると、学習量はすぐに手に負えなくなります。実際には、一度で頭に残るものと何度も抜けるものが混ざっているはずです。そこで、復習のたびに手応えを三段階に仕分けておくと、次に回すべき範囲が絞り込めます。

  • すぐ思い出せた内容は、次の復習までの間隔を広げる
  • 少し迷ったが思い出せた内容は、同じくらいの間隔を保つ
  • まったく思い出せなかった内容は、間隔を詰めて早めに戻る

仕分けの印はテキストの余白や問題集の番号の横に付けておくと、次に開いたときにすぐ判断できます。回数を重ねるほど間隔を広げる対象が増えていくため、学習が進むにつれて一回あたりの復習範囲は自然と狭くなっていきます。

仕分けの道具としては問題集や過去問が扱いやすい形です。問題を解けば思い出せたかどうかがそのまま結果に出るため、判断に迷いにくくなります。使い方の考え方は過去問の使い方でも整理しています。

復習の枠を学習計画に先に入れておく

復習が後回しになる原因の多くは、計画に復習の場所が用意されていないことです。新しい範囲を進める予定だけを並べると、遅れが出たときに削られるのは決まって復習の側になります。先に枠を確保しておくほうが結果的に安定します。

進め方としては、週の中に復習だけを行う日をあらかじめ置く形が分かりやすい方法です。たとえば平日は新しい範囲を進め、週末のうち半日は前の週に学んだ範囲を回す、といった組み方です。こうしておくと、平日に遅れが出ても復習の時間が消えることはありません。

配分の目安としては、学習の前半は新しい範囲に重心を置き、試験が近づくにつれて復習の比重を上げていく形が一般的です。直前期には新規の学習をほとんど行わず、既に触れた範囲を回すことに時間を使う受験者も多く見られます。全体の組み立て方は学習計画の立て方も合わせて参考にしてください。

加えて、いつどの範囲を復習したかを残しておくと、次に戻るべき場所を迷わずに決められます。手帳に一行書くだけでも、学習アプリの記録機能でも構いません。記録がないと、前回どこまで戻ったかを思い出す作業から始めることになり、短い時間で復習を回すことが難しくなります。

短い時間でも復習は成り立つ

復習には机に向かうまとまった時間が必要だと考えると、平日は手を付けられないまま週末を迎えることになります。しかし思い出す作業が中心である以上、必要なのは長さよりも回数です。数分でも成立する形を用意しておくと、復習の回数を確保しやすくなります。

  • 通勤中に前日にまとめた要点だけを見返す
  • 昼休みの終わりに問題を数問だけ解く
  • 寝る前に当日学んだ範囲の見出しを口に出して確認する
  • 移動中に講義音声を倍速で聞き直す

こうした短い復習は、まとまった学習の代わりにはなりませんが、薄れきる前に一度触れておく役割としては十分に働きます。短い時間の活用についてはスキマ時間の使い方でも触れています。

まとめ

復習のタイミングについて、この記事で整理した内容をまとめます。

  • 覚えた直後が最も忘れやすい時期のため、1回目の復習は当日から翌日に置くと負担が軽くなる
  • 2回目以降は間隔を少しずつ広げ、思い出せなかった範囲だけ間隔を詰めて戻す
  • 復習の枠は計画に先に入れておかないと、遅れが出たときに真っ先に削られる
  • 読み返すだけでなく、閉じた状態で思い出す形にすると抜けている部分がはっきりする

復習のやり方は自分で組み立てることもできますが、講座によっては復習の順番や間隔があらかじめ教材や配信スケジュールに組み込まれている場合もあります。独学で管理する自信がない場合は、そうした仕組みの有無を選ぶ基準に加えてみてください。

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