平日は帰宅が遅く、机に向かえるのは寝る前の一時間だけ。資格試験の勉強を始めた社会人の方から、こうした状況をよく聞きます。参考書には学習時間の目安が書かれていますが、その時間をどこから捻出すればよいのか分からないという声も少なくありません。
そこで候補に挙がるのが、通勤中や昼休みといった短い時間です。ただ、五分や十分の細切れで本当に足しになるのか、結局スマートフォンを眺めて終わるのではないかと疑問に感じている方もいるはずです。
この記事では、スキマ時間が一日にどのくらいあるのかを見積もったうえで、短い時間に向く学習と向かない学習の切り分け方、続けるための準備、そして机に向かう時間との役割分担を編集部の視点で整理します。
スキマ時間は一日にどのくらいあるのか
まず、自分の一日の中でどこに短い時間が落ちているかを書き出してみてください。多くの場合、通勤の往復、昼休みの前後、待ち合わせや移動の合間などに時間が散らばっています。一つひとつは短くても、合計すると意外な量になることがあります。
典型的な場面と、そこで扱いやすい学習の形を並べると次のようになります。時間の長さは通勤手段や職場環境によって大きく変わるため、あくまで自分の状況に置き換えるための例として見てください。
| 場面 | 確保できる時間の目安 | 向いている学習の形 |
|---|---|---|
| 通勤の電車内(座れない) | 片道15分から40分前後 | 講義音声を聞く、単語や条文の確認 |
| 通勤の電車内(座れる) | 片道15分から40分前後 | 短い動画講義、一問一答 |
| 昼休みの後半 | 10分から20分前後 | 問題を数問解く、前日の復習 |
| 帰宅前の待ち時間 | 5分から15分前後 | 間違えた問題の見直し |
| 就寝前 | 5分から10分前後 | 当日学んだ範囲の思い出し |
仮に片道二十分の通勤で往復四十分、昼休みに十五分を確保できたとすると、平日一日あたり一時間近くになります。週五日で五時間前後、月にすれば二十時間ほどの計算です。机に向かう時間だけで同じ量を積むのは、働きながらではかなり難しい水準といえます。
短い時間に向く学習と向かない学習
スキマ時間がうまくいかない原因の多くは、時間そのものではなく中身の選び方にあります。机に向かうときと同じことをやろうとすると、始めた頃に中断が来てしまい、何度やっても進んでいる感覚が得られません。
向いているのは、区切りが細かく、途中で止めても損をしない学習です。一問一答、用語の確認、間違えた問題の見直し、短い動画講義などが該当します。逆に向かないのは、腰を据えて考える必要がある学習です。
- 向いている形は、一問単位や見出し単位で区切れる学習
- 向いている形は、聞くだけ、眺めるだけで成立する復習
- 向かない形は、長文の事例問題や計算問題など考え込む学習
- 向かない形は、はじめて触れる範囲の理解を一から積む学習
特に、まだ一度も学んでいない範囲をスキマ時間で理解しようとするのは負担が大きくなります。はじめての範囲は机に向かう時間で扱い、スキマ時間は一度触れた内容を思い出す側に回すと、無理なく回りやすくなります。思い出す作業をどのタイミングで置くかは記憶が定着する復習のタイミングでも整理しています。
通勤時間をどう使うか
通勤時間は毎日ほぼ同じ長さで確保できるため、スキマ時間の中では最も計算しやすい枠です。一方で、混雑状況によってできることが変わるという難しさもあります。
立っている時間が長い場合は、手が使えない前提で組むと安定します。講義を音声だけで聞く、あらかじめ録音した要点を再生するといった形です。画面を見る必要がないため、混雑していても続けられます。
座れる場合は画面を見る学習に切り替えられます。短い単位に分かれた動画講義や、スマートフォンで解ける一問一答が扱いやすい形です。講義が一本あたり何分で区切られているかは講座によって差があり、短く区切られているほどスキマ時間との相性はよくなります。この観点は映像講義の見極め方でも触れています。
なお、通勤中は周囲の音や揺れがあるため集中の質は下がりやすくなります。同じ十分でも机に向かう十分とは違うものと考え、覚えきる場ではなく思い出す場として位置づけておくと、進まないことへの焦りが減ります。
昼休みをどう使うか
昼休みは通勤に比べて自由度が高い反面、予定が崩れやすい時間でもあります。急な用件が入ることもあるため、必ず確保できる枠とは考えないほうが無理がありません。
扱いやすいのは、食事を終えた後の十分から二十分ほどです。問題を数問だけ解く、前日に間違えた箇所を見直すといった、終わりを自分で決められる内容にしておくと切り上げやすくなります。
また、昼休みに何をやるかをその場で考えると、選んでいるうちに時間が過ぎてしまいます。前日の夜のうちに、明日の昼はどこをやるかだけ決めておくと、席に着いてすぐ始められます。
続けるために必要な事前の準備
スキマ時間の学習が定着しない大きな理由は、始めるまでの手間です。教材を探す、続きの場所を思い出す、イヤホンを取り出すといった動作が積み重なると、五分の時間はそれだけで消えてしまいます。
- 教材はスマートフォンからすぐ開ける場所に置いておく
- 動画や音声は事前にダウンロードし、通信環境に左右されないようにする
- 前回の続きが分かるようにしおりや進捗の印を必ず残す
- イヤホンや充電器は前日のうちに鞄へ入れておく
紙のテキストを持ち歩くか、デジタルに寄せるかも判断が分かれる部分です。持ち運びと検索のしやすさではデジタルに利点がありますが、書き込みや一覧性では紙が扱いやすいという声もあります。この点はテキストは紙かデジタルかで整理していますので、迷っている方は合わせてご覧ください。
スキマ時間だけでは埋まらない部分がある
ここまで短い時間の使い方を見てきましたが、スキマ時間で学習のすべてを賄うことはできません。はじめての範囲の理解、長文の事例問題、本番と同じ時間で解く演習などは、まとまった時間を取らないと進まない領域です。
役割を分けて考えると整理しやすくなります。机に向かう時間は新しい範囲を進める場、スキマ時間はすでに触れた内容を維持する場、という切り分けです。この形にすると、平日に机へ向かえない日があっても、覚えた内容が抜け落ちる速度をゆるめられます。
まとまった時間そのものをどう捻出するかについては、働きながら資格を取る勉強時間の作り方で別途扱っています。
まとめ
スキマ時間の使い方について、この記事で整理した内容をまとめます。
- 通勤の往復と昼休みを合わせると平日一日で一時間前後になることもあり、月単位では無視できない量になる
- 短い時間には一問一答や復習など区切りの細かい学習が向き、はじめての範囲の理解には向かない
- 始めるまでの手間を減らす事前の準備が、続くかどうかを大きく左右する
- スキマ時間は維持する場、机に向かう時間は前に進める場として役割を分ける
なお、スキマ時間を活かせるかどうかは教材の作りにも左右されます。講義が短く区切られているか、スマートフォンで問題演習ができるか、音声だけのダウンロードに対応しているかは講座によって異なりますので、自分の生活時間に合う形かどうかを事前に確認しておくと安心です。
教材がスキマ時間に対応しているかは、実際に各講座の内容を見比べるのが早い方法です。当サイトでは資格ごとに主要な通信講座を比較しています。
