資格試験の学習を始めようとしたとき、最初に立ちはだかるのが時間の問題です。参考書や講座の案内には必要な学習時間の目安が書かれていますが、仕事を続けながらその時間をどこから持ってくるのかは、自分で決めるしかありません。
残業がある日は帰宅が遅く、家事を終える頃には日付が変わっている。そんな生活の中で新しく時間を作るのは簡単ではありません。ただし、多くの場合は時間が存在しないというより、どこに使われているかが把握できていないことが行き詰まりの原因になっています。
この記事では、一日の使い方を書き出すところから始めて、削る候補と削らない候補の分け方、平日と休日の役割分担、時間帯ごとに向く学習の違いまでを編集部の視点で整理します。
まず一日の使い方を書き出す
時間を作る作業は、増やすことではなく置き換えることから始まります。そのためには、現状で何にどれだけ使っているかが分かっていなければ判断できません。細かく計る必要はありませんので、平日一日分をおおまかに書き出してみてください。
典型的な会社員の平日を例にすると、おおよそ次のような配分になります。生活の形は人によって大きく異なりますので、自分の数字に置き換えて考えてください。
| 時間の使いみち | 一日あたりの目安 | 見直しの余地 |
|---|---|---|
| 睡眠 | 6時間から7時間前後 | 削らない |
| 勤務と休憩 | 9時間から10時間前後 | 削りにくい |
| 通勤の往復 | 1時間前後 | 学習に置き換えやすい |
| 食事と入浴、家事 | 2時間から3時間前後 | 一部を効率化できる |
| 自由に使える時間 | 2時間から3時間前後 | 配分を組み替えやすい |
書き出してみると、自由に使える時間が思っていたより残っている一方で、その大半が動画やスマートフォンの閲覧に消えていたと気づくことがよくあります。ここが最初に手を入れられる部分です。
削る候補と削らない候補を分ける
時間を作るときに重要なのは、何を削らないかを先に決めることです。無理をして続かなくなるケースの多くは、削ってはいけない部分に手を付けています。
削らないほうがよいのは睡眠です。睡眠を削って学習時間を増やすと、その日の学習効率が落ちるだけでなく、翌日の仕事にも影響が出ます。短期的には時間が増えたように見えても、長い期間では続きません。資格試験の学習は数か月から年単位で続くことが多いため、一週間だけ無理が利く方法より、同じ調子を保てる方法を選ぶほうが総量は積み上がります。
削る候補として現実的なのは、次のような部分です。
- 目的なく見ている動画や交流サイトの閲覧時間
- 帰宅後に何をするか決めずに過ごしている時間
- 買い物や家事のうち、まとめて済ませられる部分
- 習慣で参加しているが必須ではない付き合い
削るといっても、すべてをなくす必要はありません。一日三十分を学習に振り替えるだけでも、平日五日で二時間半、月に十時間前後になります。受験までの期間が長いほど、この差は大きくなっていきます。
あわせて、家事の負担を減らせないかも検討する余地があります。買い物をまとめて済ませる、調理の手間がかからない日を作る、家族と分担を見直すといった工夫で、平日の可処分時間は変わってきます。学習のために生活を切り詰めるというより、同じ用事をより短い時間で終える形を探すという考え方です。
平日と休日で役割を分ける
平日と休日を同じように扱うと、どちらも中途半端になりやすくなります。確保できる時間の長さが違う以上、そこで扱う内容も分けたほうが無理がありません。
平日は時間が細切れになり、疲れも残っています。そのため、負荷の低い学習を置くのが向いています。前日に学んだ範囲の復習、一問一答、講義を聞くといった内容です。
休日はまとまった時間が取れるため、平日にできない学習を集めます。はじめての範囲の理解、長文の事例問題、本番と同じ時間で解く演習などです。また、平日に消化しきれなかった分を吸収する日としても機能します。
| 区分 | 確保できる時間の目安 | そこに置きたい学習 |
|---|---|---|
| 平日 | 1時間から2時間前後 | 復習、一問一答、講義の視聴 |
| 休日 | 3時間から6時間前後 | 新しい範囲の理解、演習、遅れの回収 |
注意したいのは、休日にすべてを寄せてしまう形です。休日だけで学習が完結する計画にすると、予定が入った週にまるごと失われます。平日に少量でも触れておくと、間隔が空きすぎずに済みます。触れ直す間隔については記憶が定着する復習のタイミングも合わせてご覧ください。
時間帯によって向く学習が変わる
同じ一時間でも、朝と夜とでは頭の働き方が違います。自分がどの時間帯に集中しやすいかを把握しておくと、限られた時間を有効に使えます。
朝は仕事や家庭の予定に邪魔されにくく、頭も比較的すっきりしている時間帯です。考える必要がある学習や、はじめての範囲の理解に向いています。早起きが難しくない方であれば、出社前の三十分を確保する形は安定しやすい方法です。
夜は一日の疲れが残っているため、負荷の高い学習には向きません。その代わり、当日に学んだ内容を短く振り返る、翌日の範囲を決めておくといった作業には適しています。難しい範囲に夜取りかかって進まないまま時間が過ぎるより、軽い作業に切り替えて翌朝に回したほうが結果的に早く終わることもあります。
ただし、朝型か夜型かには個人差がありますので、一般的に朝がよいとされているからといって無理に合わせる必要はありません。二週間ほど試してみて、どちらの時間帯のほうが進んだかを比べてから決めるほうが確実です。
通勤時間の使い方も、時間帯で分けて考えられます。行きは新しい内容を聞く、帰りは覚えた内容を確認するといった形です。細かい時間の活用はスキマ時間の使い方で詳しく扱っています。
続かないときは時間よりも始める手間を疑う
時間を確保したはずなのに学習が進まない場合、原因は時間の長さではなく、始めるまでの手間にあることがあります。教材を出す、続きを探す、何をやるか決めるといった動作に時間がかかると、確保したはずの三十分は大幅に目減りします。
対策としては、翌日にやる範囲を前日のうちに決めておく、教材を開いたまま置いておくといった単純な工夫が有効です。座ってすぐ始められる状態にしておくと、短い時間でも学習が成立します。
また、疲れている日に手が動かないのは自然なことです。そうした日でも切らさない最低ラインを決めておくと、習慣が途切れにくくなります。続けるための考え方はモチベーションが続かないときの対処法でも整理しています。
まとめ
働きながらの勉強時間の作り方について、この記事で整理した内容をまとめます。
- 時間は増やすものではなく置き換えるもので、まず一日の使い方を書き出すところから始める
- 睡眠は削らず、目的なく過ごしている時間や効率化できる家事から見直す
- 平日は復習中心、休日は新しい範囲と演習という形で役割を分ける
- 確保した時間が進まないときは、始めるまでの手間を減らせないか確認する
学習時間の作りやすさは、教材の形式にも左右されます。講義が短く区切られているか、通勤中に音声だけで進められるかといった点は講座によって異なりますので、自分の生活時間に合う形かどうかを申し込み前に確認しておくと安心です。
生活時間に合う教材かどうかは、実際に各講座の内容を見比べると判断しやすくなります。当サイトでは資格ごとに主要な通信講座を比較しています。
